Altium Designer は回路設計全域をカバーする広範囲なツールを一体化した統合ツールです。多くの場合、デザインエントリーから CAM 出力までの作業を、他のツールの力を借りることなく、これ 1台でこ全てこなすことができます。しかし運用が進むと他のツールとの連携が必要な場合も出てきます。
例えば、社内や取引先で他社製の回路図エディターや PCB レイアウトツールが使用されている場合には、これらのツールとの連携が必要になります。また、すでに導入済みの自動配線ツールやシミュレーターを利用したい場合もあります。
そこで Altium Designer は多くのインポータとエクスポータを備えており、他社製品で作成したデータを読み込んだり、また逆に Altium Designer で作成したデータを他社製品のフォーマットで保存することができます。
これらのインポータとエクスポータは 他社製品及び Altium 旧製品との互換性 で紹介済ですが、ここであらためて他社製シミュレータとの連携機能についてご紹介します。
まず、Altium がシミュレーションとの連携機能を重視する背景として、シミュレーション対する広範囲な要望に対して、Altium Designer だけでは対応しきれないという事情があります。
例えば、EMC 解析や熱解析、電源ノイズ解析(パワーインテグリティ)などの解析ツールは Altium Designer には含まれていませんので、他社のツールを利用することが必要になります。また、高性能なポイントツールとして実績のあるハイエンドツールを使用したい場合や、持ち合わせのツールを利用したい場合があります。さらに、取引先との間でシミュレーション結果の相関を取るために、使用するツールが指定される場合があります。このような場合には以下のシミュレータ用エクスポータが利用できます。
HyperLynx シミュレーションツール
Altium Designer から HyperLynx の hyp フォーマットて保存することができます。このため Altium Designer で設計した PCB の伝送線路解析やEMC 解析を特別な変換作業なしにHyperLynx て行うことができます。
高周波3次元電磁界解析ツール Ansoft HFSS™
高周波3次元電磁界解析ツール Ansoft HFSS™ のファイルフォーマットで Altium Designer の PCB データを保存できます。これによりマイクロ波応用回路の分野で業界標準して利用されている高周波3次元電磁界解析ツール Ansoft HFSS™ を特別な変換作業なしに利用することができます。
SiSoft Quantum-SI™ 伝送線路シミュレータ
SiSoft Quantum-SI™ のファイルフォーマットで Altium Designer の PCB データを保存できます。高性能な伝送線路シミュレータ Quantum-SI を特別な変換作業なしに利用することができます。
さらに Altium Designer ではCADENCE社の オートルータ SPECCTRA 用の dsn フォーマットでPCB データを語損できます。この dsn フォーマットは、CADENCE 社以外でも多くのシミュレータメーカが PCB ツールとのインターフェイスに使用しています。この dsn フォーマットを解して以下のシミュレータが利用できます。
パワーインテグリティ Sigrity
SPECCTRA .dsn フォーマットを介してパワーインテグリティ Sigrity を Altium Designer 用のシミュレータとして使用できます。
このほかにも SPECCTRA .dsn フォーマットでやり取りができるシミュレータがいくつかありますので、シミュレータの利用範囲を広げたい場合には、探してみると良いと思います。
以上のように Altium Designer は、万全の外部シミュレータ利用環境を提供しています。
CADENCE、 SPECCTRA は Cadence Design Systems, Inc. の登録商標です。
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