Altium Designer チュートリアル – PCB 設計入門
このドキュメントは、Altium 社が旧バージョン用に作成したチュートリアル「 PCB 設計入門」の本文の一部を修正し、挿絵画像を更新したものです。
このドキュメントでは、File » New » Project(ファイル >> 新規 >> プロジェクト)のように、英語メニューの後に、日本語メニューを追記してあります。インストールしたAltium Designerを日本語メニューに切り替えるには、こちらのリンク 「日本語メニューへの切り替え」を参考にしてください。
INDEX
新規 PCB プロジェクトの作成
Altium Designer のプロジェクトは、デザインに関連する全てのドキュメントと設定へリンクで構成されています。プロジェクトファイル(例えば、xxx.PrjPCB は、ASCII テキストファイルで、プロジェクト内のドキュメントやそれに関連する出力設定(印刷や CAM 等)のリストが格納されています。プロジェクトに関連付けられていないドキュメントは ‘フリードキュメント’ と呼びます。PCB、FPGA、組込み (VHDL) パッケージやライブラリパッケージ等、回路図シートやこれらからのデータ出力設定条件などのドキュメントののリンクが、プロジェクトに書き込まれます。
- メニューから File » New » Project(ファイル >> 新規 >> プロジェクト)を選びます。これにより New Project(新しいプロジェクト)ダイアログボックスが表示されます。
- Available Project Types(プロジェクトタイプ) のリストから PCB Project を選んでください。Project Templates (プロジェクト テンプレート)はこのチュートリアルでは使用しません。
- Name (名称)フィールドにこのチュートリアルの例題のプロジェクト名として、Multivibrator と入力します。 拡張子は自動的に付加されますので記入する必要はありません。
- Location (場所)フィールドにはファイルの保存場所を直接記入するか、Browse ボタンで表示されるナビゲータから目的の場所を選びます。また Create Project Folder (プロジェクトフォルダを作成)オプションにチェックを入れると、Location (場所)フールドで指定したフォルダーの下にプロジェクトと同じ名前のサブフォルダーが自動的に作成されます。
- OK ボタンを押すと、指定した場所にした名称のプロジェクトファイルが作成されます。
- 作成したプロジェクトが Projects パネルに表示されます。 もしこのパネルが表示されない場合、メインデザインウィンドウの右下にある System ボタンから Projects を選択して下さい。
- この Projects パネルには新しいプロジェクトファイルである Multivibrator.PrjPCB が表示されますが、ドキュメントまだありません。
新規回路図シートの作成
次に、新規回路図シートをプロジェクトへ追加します。この回路図で非安定マルチバイブレータの回路を設計します。 新規の回路図シートを作成するには、次のステップを実行します:
- Projects パネルでプロジェクトファイルを 右クリック し Add New to Project » Schematic (新規ドキュメントをプロジェクトに追加 >> Schematic)を選択します。デザインウィンドウに、Sheet1.SchDoc と言うブランクの回路図シートが表示され、Projects パネル内のプロジェクトにリンクされます。また、回路図ドキュメントのアイコンが Source Documents フォルダアイコン下に表示されます。
- File » Save As (ファイル >> 名前を付けて保存)を選択して、新規の回路図ファイル(拡張子 .SchDoc)を保存します。プロジェクトを保存するハードディスク上のディレクトリに移動し、File Name (ファイル名)フィールドでファイル名 Multivibrator.SchDoc を入力して Save (保存)をクリックします。プロジェクトファイル(または、子/孫フォルダ内の)として同じフォルダに保存したプロジェクトファイルは相対的にプロジェクトにリンクされますが、異なる場所に保存したファイルは絶対的にリンクされることに注意してください。
- 回路図をプロジェクトに追加したのでプロジェクトファイルも変更します。Projects パネルでプロジェクトファイル名を 右クリック し Save (保存)を選択してプロジェクトを保存します。
ブランクの回路図シートを開くと、ワークスペースが変化します。新しいボタンを含むメインツールバーや、新しい項目を含むメニューバーと、Sheet パネルが表示されます。ワークスペースの外観をカスタマイズできます。例えば、パネルやツールバーの位置を変更、またはメニューやツールバーコマンドをカスタマイズできます。
回路図のドキュメントオプションの設定
- メニューから Design » Document Options (デザイン >> ドキュメント オプション)を選択すると、Document Options (ドキュメント オプション)ダイアログが表示されます。
- ここで必要な変更は、用紙サイズを A4 の大きさに設定することだけです。Sheet Options (シートオプション)タブの Standard Styles (規定スタイル)フィールドで設定します。
- OK をクリックすると、ダイアログが閉じてシートサイズが更新されます。
- ドキュメント全体を再表示するために View » Fit Document (表示 >> 全体表示)を選択します。
- File » Save (ファイル >> 保存)(ショートカット: F, S) を選択して回路図シートを保存します。
次に全般的な回路図のプリファレンスを設定します。
- Tools » Schematic Preferences (ツール >> プリファレンス)(ショートカット: T, P) を選択し、Preferences (プリファレンス)ダイアログの schematic 領域を開きます。このダイアログでは、作業する回路図シート全てに適用するグローバル環境を設定できます。
- ダイアログの Schematic – Default Primitives ページを開き、Permanent (固定化)オプション(ダイアログの右側にある)を有効にします。OK をクリックし、ダイアログを閉じます。
Altium Designer では Undo (元に戻す)機能を複数回使用できるので、直前の操作を何度でもやり直せます。Undo の最大回数は、お使いのコンピュータのメモリが許す限り、ユーザが自由に設定できます。Preferences ダイアログの Schematic – Graphical Editing ページで設定します。
回路図の作成
マルチバイブレータの回路。
これで回路図を作成する準備ができました。このチュートリアルでは上図の回路を使用します。ここでは、2 個の 2N3904 トランジスタを使用した自動起動型の非安定マルチバイブレータ回路を作成します。
コンポーネントの検索とライブラリの読出し
Altium Designer に用意されている回路図シンボルを管理するため、回路図エディタには高度なライブラリ検索機能があります。必要とするコンポーネントは、デフォルトで登録されているライブラリ内にありますが、コンポーネントを見つけるためにライブラリを検索する方法があります。以下の手順を実行して、このチュートリアルの回路を作成するために必要なライブラリの検索と登録を行います。 まずトランジスタを検索します。使用するトランジスタはどちらも 2N3904 です。
- Libraries (ライブラリ)パネルの Search ボタンを押し(または、Tools » Find Component (ツール >> ライブラリ検索)を選択します)、Libraries Search (ライブラリ検索)ダイアログを表示します。
- もし Libraries (ライブラリ)パネルが表示されていない場合、まずこれを表示します。このための最も簡単な方法は、アプリケーションの右下にある System ボタンをクリックしてメニューから Libraries (ライブラリ)を選択することです。パネルの設定、コントロールの詳細については Working with Panels のアーティクルを参照してください。
- ダイアログオプションが以下のように設定されていることを確認します:
- Filters (フィルタ)の項目の Field (フィールド)を Name に、Operator を contains に、Value を
3904
に設定します。 - Scope (検索範囲)は、Search in (検索対象)を Components に設定し、Libraries on path (パス内のライブラリ)にします。
- Path (パス)は、C:\Users\Public\Documents\Altium\AD15\Library\ 等、ライブラリのインストールパスを設定します。
導入済み、または利用できるライブラリを検索。
- Filters (フィルタ)の項目の Field (フィールド)を Name に、Operator を contains に、Value を
- Search (検索)ボタンをクリックして検索を開始します。検索が行われると Query Results が Libraries (ライブラリ)パネルに表示されます。
- Miscellaneous Devices.IntLib ライブラリのコンポーネント名 2N3904 をクリックします。このライブラリには、シミュレーションを行える BJT トランジスタのシンボルがあります。
- もし、現在、登録されていないライブラリのコンポーネントを選択した場合、コンポーネントを配置する前にそのライブラリを 登録するかどうか確認 するために尋ねられます。Miscellaneous Devices ライブラリは既に登録されているのでそのコンポーネントを配置できます。登録したライブラリは、Libraries (ライブラリ)パネルの上部のドロップダウンリスト(リストの下部)に表示されます。ライブラリ内でコンポーネントを素早く見つけるにはパネルの Filter を使用します。
3904 の名称を持つコンポーネントの検索結果。
回路図へのコンポーネントの配置
最初に回路図へ配置するコンポーネントは、2 個のトランジスタ、Q1 と Q2 です。回路の一般的なレイアウトに関しては、上図に示した回路図を参照してください。
- View » Fit Document (表示 >> 全体表示)(ショートカット: V, D) を選択し、回路図シートをフルウィンドウで表示します。
- Libraries (ライブラリ)パネル(ポップアウトモードの場合、ワークスペースの右上にあるタブをクリックして)を表示します。
- Miscellaneous Devices.IntLib ライブラリをアクティブにするため、Libraries パネル上部のドロップダウンリストから選択します。
- 必要なコンポーネントを素早く見つけるにはフィルタを使用します。デフォルトのワイルドカード (*) は、ライブラリ内で見つかる全てのコンポーネントを表示します。ライブラリ名の下のフィルタフィールドに *3904* と入力して、フィルタを設定します。Component Name フィールドの一部にテキスト “3904” を含むコンポーネントのリストが表示されます。
- リストの 2N3904 をクリックし、Place ボタンをクリックします。あるいは、コンポーネント名をダブルクリックします。カーソルが十字形に変わり、配置のため自由に動かせるトランジスタのシルエットがカーソル上に表示されます。今は、部品の配置モードになっています。カーソルを動かすにつれてトランジスタのシルエットも一緒に動きます。まだ、トランジスタを配置しないでください。
- 回路図に部品を配置する前に、まず、その属性を編集します。トランジスタがカーソルの上にある状態で、TAB キーを押します。この操作で Component Properties ダイアログが開きます。下記のようなダイアログでオプションを設定します。
ダイアログの Properties の項目にある Designator にQ1
と入力します。 - Footprint(ダイアログの Models で指定した)が TO-92A に設定されていることを確認します。これは統合ライブラリであるため、いくつかのコンポーネントにシミュレーションモデルが割り当てられているのと同様に少なくとも 1 つのフットプリントが割り当てられています。
- その他の欄はデフォルトの値のままで OK をクリックしてダイアログを閉じます。
部品を配置する準備ができました。編集中、または配置モード(十字カーソルがアクティブ)である時、ドキュメントウィンドウの端にカーソルを移動するとドキュメントを自動でスライドさせることができます。 スライドさせ過ぎた時は、ショートカット V, F(View » Fit All Objects(表示 >> すべてのオブジェクト))を押して配置された全てのオブジェクトを表示させます。この操作はオブジェクトの配置中にも行えます。
- シートの中央の少し左にトランジスタを配置するためにカーソル(トランジスタシンボルが付いた状態で)を移動します。トランジスタの位置を決めたらクリック、または ENTER を押して回路図にトランジスタを配置します。
- カーソルを移動します。まだ、部品の配置モードの状態でカーソルに部品が付いています。この機能により、同じタイプの複数の部品を配置できます。2 つ目のトランジスタを配置します。このトランジスタはその前の部品と同じですので属性を編集する必要はありません。Altium Designer では、続けて部品を配置する時、自動でコンポーネントのデジグネータをインクリメントします。この場合に、次のトランジスタのデジグネータは自動で Q2 になります。
- 上図の回路図を参照すると、Q2 は Q1 に対して鏡面反転になっていることが分かります。トランジスタの方向を反転させるため、カーソルの上に浮いている状態で X キーを押します。この操作はコンポーネントを水平方向(X 軸)に反転させます。
- カーソルを Q1 の右の方へ移動させます。コンポーネントをより正確に配置するには、PAGE UP キーを 2 回押して、2 段階ズームさせてください。グリッドラインが見えるはずです。
- 部品の位置を決めたら、クリックするか、ENTER を押して、Q2 を配置します。”保持されている” トランジスタのコピーは、再び回路図に配置できます。次のトランジスタがカーソル上に表示され、配置できる状態です。
- 必要なトランジスタは全て配置したので、マウスの右クリック か、ESC キーを押して部品の配置モードを終了します。カーソルは元の矢印に戻ります。
次に 4 つの抵抗を配置します。
- Libraries (ライブラリ)パネルで、Miscellaneous Devices.IntLib ライブラリがアクティブになっていることを確認します。
- ライブラリ名の下のフィルタの項目に
res1
と入力しフィルタを設定します。 - コンポーネントリストの Res1 をクリックし、Place ボタンをクリックします。カーソル上に抵抗のシンボルが表示されます。
- TAB キーを押して Component Properties ダイアログを表示し、抵抗の属性を編集します。ダイアログの Properties の項目で、Designator フィールドに
R1
と入力して最初のコンポーネント デジグネータの値を設定します。 - Models リストで現在のフットプリントが AXIAL-0.3 であることを確認してください。
- 回路図コンポーネントの Comment フィールドの内容は、PCB コンポーネントの Comment フィールドにマッピングされます。通常は、ここで =value、または抵抗値を入力しておく方がよいでしょう。R1 の*Comment* フィールドに
100k
の値を入力します。 - ここではシミュレーションを行わないので、Value パラメータの Visible オプションが無効で、Comment フィールドが正しい値(この場合、100K)であることを確認します。
- スペースバー を押して抵抗を 90° 回転します。
- 抵抗の位置を Q1 の上に決めて(上図の回路図参照)、マウスの左 をクリック、または ENTER を押し、部品を配置します。まだ、抵抗がトランジスタに接続していなくても構いません。全ての部品は後で配線します。
- 次に、別の 100K 抵抗 R2 を Q2 の上に配置します。2 番目の抵抗を配置すると、デジグネータが自動的にインクリメントされます。
- 更に残りの 1K 抵抗、R3 と R4 が残っています。TAB キーを押し、Component Properties ダイアログを表示させます。Comment に 1K を入力し、Value パラメータ用の Visible オプションを無効にしてください。OK ボタンをクリックし、ダイアログを閉じます。
- 位置を決めて、R3 と R4 を上図の回路図の通りに配置します。右クリック か ESC を押して、部品の配置モードを終了します。
次に 2 つのコンデンサを配置します。
- コンデンサの部品は、Libraries (ライブラリ)パネルで既に選択されている Miscellaneous Devices.IntLib ライブラリにあります。
- Libraries パネル内のコンポーネントのフィルタ欄に
cap
と入力します。 - コンポーネントリストの CAP をクリックして選択し、Place ボタンをクリックします。カーソル上にコンデンサのシンボルが表示されます。
- TAB キーを押して、コンデンサの属性を編集します。Component Properties ダイアログで、Designator を
C1
に、Comment を20n
に設定します。Value パラメータ用の Visible オプションを無効にして、Models リストの PCB フットプリントのモデルに RAD-0.3 が選択されていることを確認します。OK をクリックします。 - 1 つ目と同じようにして、2 つ目のコンデンサの位置を決め、配置してください。
- 右クリック、または ESC を押して、配置モードを終了します。
最後に配置するコンポーネントは Miscellaneous Connectors.IntLib にあるコネクタです。
- Libraries (ライブラリ)パネルのライブラリリストから Miscellaneous Connectors.IntLib を選択します。欲しいコネクタは、2 ピンソケットなので、Libraries パネルのフィルタに
*2
と入力します。 - パーツリストから Header 2 を選択し、Place ボタンをクリックします。TAB キーを押して、属性を編集します。Designator に
Y1
を設定、PCB フットプリントモデルが HDR1X2 であることを確認します。回路シミュレーションを実行する時には、このコンポーネントを電源と置き換えることになるので、Value パラメータの設定は不要です。OK ボタンをクリックし、ダイアログを閉じます。 - コネクタを配置する前に、X を押して水平方向に反転させ、正しい方向に向けます。回路図上でクリックしてコネクタを配置します。
- 右クリック、または ESC を押して、部品の配置モードを終了します。
- メニューから File » Save (ファイル >> 保存)(ショートカット: F, S) を選択して、回路図を保存します。
全ての部品を配置した回路図。
以下のキーを使用して、カーソル上の部品を操作できます: – Y 垂直方向に部品を反転します。 – X 水平方向に部品を反転します。 – スペースバー 90度刻みで反時計回りに部品を回転します。 – Shift+スペースバー 90度刻みで時計回りに部品を回転します。
回路の配線
配線は、回路の様々なコンポーネント間の接続を作成する作業です。回路の配線は下書きの回路図の通り、以下のようなステップで行います。
- 回路図シートをよく見えるように、PAGE UP キーでズーム、または PAGE DOWN キーでズームダウンさせます。CTRL キーを押しながら、マウスホイールを動かしてみる、あるいは、CTRL + 右マウス ボタンを押したまま、マウスを上下に動かすと、ズームイン、ズームアウトの操作ができます。
- 最初に、抵抗 R1 をトランジスタ Q1 のベースに、次のようにして配線します。メニュー から
Place » Wire (配置 >> ワイヤ)(ショートカット: P, W) を選択するか、Wire ツールを Wiring ツールバーからクリックして、ワイヤ配置モードにします。カーソルが十字形に変わります。
- カーソルを R1 の下端の上に置きます。正しく置くと、赤い接続マーカー (大きなアスタリスク) がカーソル位置に表示されます。これは、カーソルがそのコンポーネントの電気的な接続ポイントの上にあることを示しています。
- 左マウスボタン をクリックするか ENTER キーを押して、最初の配線ポイントを固定します。カーソルを動かすと、カーソルの位置から固定したポイントへ配線が伸びていきます。
- R1 の下側へカーソルを動かし、Q1 のベースに置きます。クリックするか ENTER キーを押して、このポイントに配線を固定します。1 つ目と 2 つ目の固定(アンカー)ポイント間に配線が引かれました。
- Q1 のベースの上にカーソルを置き、カーソルが赤い接続マーカーに変わるようにします。クリックするか、ENTER キーを押して、Q1 のベースにワイヤを接続します。
- カーソルは十字形のままなので、このまま、別の配線を引くことができます。配置モードを終了し矢印カーソルに戻るには 右クリック か ESC を押しますが、ここでは行いません。
- 次に、C1 を Q1 と R1 に配線します。カーソルを C1 の左側の接続ポイントの上に置いてクリックするか ENTER キーを押し、新しい配線を開始します。カーソルを水平に動かして、Q1 のベースと R1 を接続する配線の真上に来るようにします。接続マーカーが表示されます。クリックするか ENTER キーを押して、配線セグメントを配置します。次に右クリックするか、ESC キーを押して配線の引き回しを終了します。2 つの配線が自動的に接続される様子をご覧ください。
- 下図の様に残りの回路を配線します。
- 全ての配線の配置が終了したら、右クリックするか ESC キーを押して配置モードを終了します。カーソルが矢印に戻ります。
- 配置されたコンポーネントを動かして、接続された配線を一緒にき直したい場合は、CTRL キーを押したままコンポーネントを動かしてください。あるいは、Move » Drag (編集 >> 移動 >> ドラッグ)を選択してください。
ピンの端を交差するワイヤは、ジャンクションを削除してもピンに接続されます。続ける前に、配線した回路が図の様になっていることを確認します。
ネットとネットラベル
互いにコンポーネントに接続されたコンポーネントピンは、ネット と呼ばれるものを構成することになります。例えば、あるネットは Q1 のベース、R1 のピンを 1 つ、C1 のピンを 1 つ含んでいます。 設計図内にある重要なネットを容易に識別できるようにするため、ネットラベルを追加することができます。2 つの電源ネットにネットラベルを配置するには、次のようにします:
- Place » Net Label (配置 >> ネットラベル)(ショートカット: P, N) を選択します。ネットラベルがカーソル上に表示されます。
- 配置する前にネットラベルを編集するには、TAB キー押して Net Label ダイアログを開きます。
- Net フィールドに
12V
を入力し、OK をクリックしてダイアログを閉じます。
- ネットラベルの左下が回路図の配線の少し上に触れるように、ネットラベルを動かします。ネットラベルが配線に触れるところで、カーソルが赤い十字に変わります。交差する線が明るい灰色になった場合は、ネットではなく、ピンにラベルが付きます。
- 最初のネットラベルを配置した直後は、まだネットラベルの配置モードのままです。もう一度 TAB キーを押すと、2 つ目のネットラベルを配置前に編集できます。
- Net フィールドに
GND
を入力、OK をクリックしてダイアログを閉じ、ネットラベルを配置します。 - ネットラベルの左下が回路図の配線の少し下に触れるように、ネットラベルを動かします。右クリックか ESC を押すと、ネットラベルの配置モードを終了します。
- File » Save (ファイル >> 保存)(ショートカット: F, S) を選択して回路を保存してください。プロジェクトも同様にして保存します。
全て配線された回路図。
これで、Altium Designer を使用した最初の回路図の作成が完了しました。回路図を基板に変換する前に、プロジェクト オプションを設定してデザインのエラーを確認する必要があります。
プロジェクトオプションの設定
プロジェクトの設定は Options for Project ダイアログで設定します。
プロジェクトの設定は Options for Project ダイアログ (Project » Project Options) で設定します。プロジェクトオプションには、エラーチェックのパラメータ、接続マトリクス、クラスジェネレータ、コンパレータ設定、ECO 生成、出力パスとネットリストのオプション、Multi-Channel の命名フォーマット、Default Print の設定、Search Paths、その他のプロジェクトパラメータが含まれています。Altium Designer では、プロジェクトをコンパイルする際にこれらの設定を使用します。 プロジェクトをコンパイルすると、エレクトロニクス設計上の包括的なルールがデザインの検証に使用されます。全てのエラーが解決すると、Engineering Change Orders (ECOs) を生成してコンパイルされた回路図の情報を PCB ドキュメントへ移行できます。 このプロセスは、回路図と PCB 間の相違を識別するコンパレータエンジンで、ECO を生成して各相違を解決します。相違を識別するコンパレータエンジンを使用するこの方法は、回路図と PCB 間で直接、働く(ネットリストファイルは使用しません)だけでなく、設計プロセス中のどの段階でも回路図と PCB を同期するために使用できることを意味します。また、コンパレータエンジンはソースとターゲットファイル間の相違を見つけて、双方向で更新(同期)できます。 実装、製造出力やレポートのような Project outputs は File (ファイル)や Reports メニューから設定できます。また、これらの設定はプロジェクトで利用できるよう Project ファイルに保存されます。または、出力ジョブ ファイル (File » New » Output Job File) で出力オプションを設定できます。詳細については Documentation Outputs をご覧ください。
回路図の電気的特性のチェック
Altium Designer における回路図ダイアグラムには、単純な描画以上の機能があります。つまり、回路についての電気的な接続情報が含まれています。この接続情報を使用すると、デザインを検証することができます。プロジェクトのコンパイル時に、Altium Designer は Options for Project ダイアログの Error Reporting や Connection Matrix タブに設定されたルールに従って、エラーチェックを行います。プロジェクトをコンパイルすると、検出された違反は Messages パネルに表示されます。
- Options for Project ダイアログ(上図)を表示するには Project » Project Options (プロジェクト >> プロジェクト オプション)を選択します。
- このダイアログでプロジェクトに関連するオプションを設定します。Error Reporting、Connection Matrix、Comparator タブでいくつか設定を変更します。
Error Reporting の設定
Options for Project ダイアログの Error Reporting タブは、デザイン作図のチェックに使用されます。Report Mode の設定は、違反の深刻さのレベルを表しています。設定を変更する場合は、変更したい違反事項の右にある Report Mode をクリックし、深刻さのレベルをドロップダウンリストから選択してください。このチュートリアルでは、デフォルトの設定を使用します。
Connection Matrix の設定
Connection Matrix は回路図でチェックする電気的な状態を定義します。
デザインをコンパイルする時、各ネットのピンリストが Altium Designer のメモリに内部的に構築されます。各ピンのタイプが検出され(例えば、input、output、passive 等)、互いに接続すべきでないピンタイプ(例えば、output ピンを他の output ピンに接続)があるかどうか確認するために、各ネットがチェックされます。Options for Project ダイアログの Connection Matrix タブは、どのピンタイプを互いに接続できるようにするか設定する場所です。例えば、マトリクスの右側の項目の Output Pin と上の項目の Open Collector Pin が交差するマトリクスに着目します。このマトリクスはオレンジ色なので、プロジェクトをコンパイルすると、Output Pin と Open Collector Pin が接続されている場合、エラーとなります。 各エラータイプ(No report から Fatal error まで)を設定できます。Connection Matrix で変更するには以下の方法を行います:
- 設定を変更するにはカラーボックスをクリックします。クリックすることで 4 種類切り換わります。ダイアログで 右クリック して全ての設定を同時に切り換えるメニュー(Default 状態に戻すオプションを含む)を表示できることに注意してください。
- 回路で使用しているのは Passive Pins(抵抗、コンデンサ、コネクタ)と Input Pins(トランジスタ)のみです。Connection matrix の設定で未接続の Passive ピンのみ検出するかどうか確認します。縦軸の Passive Pin と横軸の Unconnected が交差するマトリクスに着目します。回路図で Passive ピン が 未接続 の場合に、このマトリクスの設定が反映されます。デフォルト設定は、レポートしないことを示す緑色です。
- このボックスを黄色になるまでクリックします。これにより、未接続の Passive ピンがある場合、プロジェクトをコンパイルするとワーニングが表示されます。このチュートリアルの後で確認するために、このエラーの例を意図的に作成します。
コンパレータの設定
Options for Project ダイアログの Comparator タブは、プロジェクトのコンパイル時にファイル間のどの相違をレポートし、あるいは無視するかを設定します。このチュートリアルでは、階層的な回路図設計を参照するためだけに、ルームのような機能間の相違を表示する必要はありません。
- Comparator タブをクリックします。Differences Associated with Components の項目に Changed Room Definitions、Extra Room Definitions、Extra Component Classes があります。
- 上記の各オプションの右側にある Mode の列のドロップダウンのリストから、Ignore Differences を選択します。
これで、プロジェクトをコンパイルし、エラーを確認する準備ができました。
エラーを確認するためにプロジェクトをコンパイル
プロジェクトのコンパイルでは、デザインドキュメントの描画や電気的なルールのエラーを確認し、Messages パネルに警告やエラーを表示します。また、Compiled Errors パネルに詳細な情報を表示します。既に、Options for Project ダイアログの Error Checking と Connection Matrix でルールを設定してあるのでデザインをチェックできます。
- Multivibrator プロジェクトをコンパイルするには、Project » Compile PCB Project (プロジェクト >> Compile PCB Project)を選択します。
- プロジェクトをコンパイルすると、警告やエラーが Messages パネルに表示されます。エラーが検出された場合、そのパネルは自動で表示されます。手動で表示するには、ワークスペース下部の System ボタンをクリックしメニューから Messages を選択します。 エラーを調査するには、パネルの項目をダブルクリックします。また、コンパイルしたドキュメントは Navigator パネルに詳細を表示(フラット階層でコンポーネントやネット情報をリスト表示)できます。
- 回路を正しく描画したら、Messages パネルにはエラーは表示されません。もし、エラーがある場合、回路の配線と接続が正しいことを確認します。
意図的に回路でエラーになるようにしプロジェクトを再コンパイルします:
- デザインウィンドウ上部の Multivibrator.SchDoc タブをクリックして、回路図シートをアクティブドキュメントにします。
- R1 と Q1 のベース間に接続されたワイヤをクリックします。ワイヤの両端に小さい、四角いハンドルマークが表示されます。そして、セレクトを示すセレクションカラーが点線で表示されます。DELETE キーを押してワイヤを削除します。
- プロジェクトをコンパイル(Project » Compile PCB Project)して、エラーを確認します。Messages パネルに警告メッセージが表示され、接続されていないピンが回路中にあることを示します。
- Messages パネルのエラーや警告をダブルクリックすると、Compile Error パネルに違反の詳細が表示されます。このパネルでエラーをクリックすると、回路図内の違反のあるオブジェクトにジャンプし、エラーを確認、訂正することができます。
次のセクションを終了する前に、回路図のエラーを訂正しておきましょう。
- 回路図シートをアクティブドキュメントにします。
- メニューから Edit » Undo (ショートカット: CTRL + Z) を選択します。先に削除した配線が元通りになりました。
- 元に戻ったことを確認し、プロジェクトを再コンパイル(Project » Compile PCB Project)します。Messages パネルにはエラーが表示されません。
- メニューから View » Fit All Objects (表示 >> すべてのオブジェクト)(ショートカット: V, F) を選択して、回路図全体を表示します。
- 回路図、プロジェクトファイルを保存します。
これで、回路図が完成し、チェックもしました。PCB を作成してみましょう。
新規 PCB の作成
Main article: デザイン移行のためのボード準備
回路図エディタから PCB エディタにデザインを送る前に、最低でも、基板の外形だけがある空の PCB を作成しておく必要があります。Altium Designer で新規の PCB デザインを作成する最も簡単な方法は、PCB Board Wizard を使用します。独自のカスタムボードサイズを作成するのと同様に、業界標準の基板の外形を選択できます。Wizard では、Back ボタンでいつでも前頁のチェックや変更ができます。 PCB Wizard で新規 PCB を作成するには、以下のステップに従ってください:
- Files パネルを表示します。このパネルは、デフォルトで Altium Designer の左下にあります。もし、Files パネルを利用できない場合、ワークスペースの右下にある System ボタンをクリックしメニューから Files を選択します。
- Files パネルの下部にある New from Template セクションの PCB Board Wizard をクリックして、新規 PCB を作成します。このオプションが表示されていないときは、上向き矢印のアイコンをクリックして、上側にあるいくつかのセクションを閉じてください。
Wizard だけでなく、 PCB Templates でも、新規 PCB を簡単に作成できますのでこちらもお試し下さい。
- PCB Board Wizard が開き、紹介ページが表示されます。Next をクリックして続けます。
- 測定単位を インチ系(1000mil = 1 inch)に設定します。
- Wizard の 3 番目のページで、好きな基板の外形を選択できます。このチュートリアルでは、ボードサイズを独自に指定することにします。基板外形のリストから、Custom を選択し、Next をクリックします。
- 次のページでカスタムボードのオプションを入力します。 チュートリアル用の回路としては、2 × 2 インチの基板で十分です。Rectangular (矩形)を選択し、Width (Xサイズ)と Height (Yサイズ)のフィールドにそれぞれ
2000
を入力します。Title Block and Scale(タイトルブロックとスケール)、Legend String (レジェンド文字)と Dimension Lines (寸法線)のチェックは外しておきます。Next をクリックして続けます。 - 次のページでは、ボード上のレイヤ数を選択できます。2 つの信号レイヤが必要です。パワープレーン用のレイヤは不要です。Next をクリックして続けます。
- デザイン中で使用するビアのスタイルを選択します。Thruhole Vias only (全層貫通ビアのみ)を選択し、Next をクリックします。
- 次のページでは、コンポーネント/トラックのテクノロジ(配線)を設定できます。Through-hole components (スルーホール コンポーネント)オプションを選択し、One Track (1本)で隣接するパッド間のトラックの数を設定します。Next をクリックします。
- 次のページでは、基板に適用するトラックの幅とビアのサイズに関するデザインルールを設定します。これらのオプションはデフォルトのままにしておいてください。Next をクリックします。
- Finish をクリックします。これで、新規ボードを生成するのに必要な全ての情報を PCB Board Wizard に設定しました。PCB エディタには、PCB1.PcbDoc と言う名称の新しい PCB ファイルが表示されています。
- PCB ドキュメントには、デフォルトサイズの白いエリアと空の基板外形(グリッドのある黒いエリア)が表示されています。白いエリアをオフにするには、 Design » Board Options (デザイン >> ボード オプション)を選択して、Board Options ダイアログのDisplay Sheet (シートを表示)のオプションを無効にします。Altium Designer が提供している他の PCB テンプレートから、自分で境界、グリッド、タイトルブロックを追加することもできます。
- これで、シートはオフになります。View » Fit Board (表示 >> 基板全体)(ショートカット: V, F) を選択して基板外形だけを表示します。
- もし、それが表示されない場合、Projects パネルを表示(Altium Designer の右下の System ボタンを使用)します。
- もし、新規 PCB が自動で Multivibrator プロジェクトに追加(リンク)されていない場合、Projects パネルで PCB ファイルをクリックしたままで Multivibrator プロジェクトへドラッグアンドドロップします。
- Projects パネルで新規 PCB を 右クリック し、メニューから Save As (名前を付けて保存)を選択します。PCB は回路図やプロジェクトファイルと同じフォルダに保存されていることを確認し、
Multivibrator.PcbDoc
と言う名称で保存します。
デザインの転送
回路図からボードレイアウトへデザインを転送するプロセスは、メニューから Design » Update PCB Document (デザイン >> Update PCB Document)を選択して実行します(デザインがコンパイルされ、 Engineering Change Orders が作成されます)。以下のステップを実行します:
- デザインで使用した全てのコンポーネントのリストが構築されます。ECO が実行される時、Altium Designer は Currently available libraries (利用可能ライブラリ)の各フットプリントを検索し PCB ワークスペースに配置します。もし、フットプリントが利用できない場合、エラーが起こります。
- デザインの全てのネット(接続されたコンポーネントピン)のリストが作成されます。ECO が実行されると、Altium Designer は PCB へ各ネットを追加し各ネットに属するピンを追加しようとします。もし、ピンを追加できない場合、エラーが起こります(これは、フットプリントが見つからなかった時、またはフットプリントのパッドがシンボルのピンにマップしない時、起こります)。
- そして、ルーム、ネットクラス、コンポーネントクラス、PCB デザインルールを含む設計データが転送されます。
回路図情報を新しい空の PCB に転送する前に、回路図と PCB の両方で、関連ライブラリが有効であることを確認してください。デフォルトでインストールされている統合ライブラリだけをこのチュートリアルでは使用しますので、フットプリントは既に含まれています。回路図から PCB レイアウトへデザインを転送する準備ができました。
- 回路図ドキュメント Multivibrator.SchDoc を開きます
- Design » Update PCB Document (Multivibrator.PcbDoc) を選択します。プロジェクトがコンパイルされ、Engineering Change Order ダイアログが表示されます。
PC B へ変更を反映するために ECO が作成されます。これにより、PCB が回路図と一致した状態になります。 - Validate Changes (変更の確認)をクリックします。全ての変更が有効と確認されたら、緑のマークが Status (確認)リストに表示されます。変更が正しく確認されなかった場合は、ダイアログを閉じて Messages パネルをチェックしエラーをクリアにしてください。
- Execute Changes (変更の実行)をクリックして変更を PCB に送ります。全て完了したら、Done (実行)欄にチェックマークが表示されます。
- Close をクリックして、ボード上に配置準備の完了したコンポーネントが並んでいるターゲット PCB を開きます。カレントビューでコンポーネントが見えない場合、ショートカット V, D (View » Document) (表示 >> 全体表示)で見えるようになります。
PCB 設計
ECO の全てを実行したら、コンポーネントとネットが PCB ワークスペース内の基板外形の右に表示されます。いくつかのコンポーネントパッドが緑色でハイライト(デザインルール違反を示します)されることに注意してください。これを解決します。 PCB エディタでは、2 次元と 3 次元モード(3次元モードには、DirectX 9.0C で Shader Model 3 をサポートするグラフィックカードが必要です。適切なカードの詳細については、Performance comparison of graphics cards のアーティクルを確認してください。)で PCB デザインを表示する機能があることに注意してください。2D モードは、コンポーネントの配置、配線、接続のような通常の PCB 設計タスクが可能なマルチレイヤ環境です。3D モードは、3Dモデルとして内部と外部のデザインを検証するために役立ちます(3D モードは、2D モードのフル機能を利用できません)。2D と 3D モードは、View » Switch To 3D、または View » Switch To 2D (ショートカット: 2 (2D), 3 (3D)) を使用して切り換えできます。
PCB ワークスペースに配置されたコンポーネントとネット。
PCB ワークスペースの設定
ボード上にコンポーネントを配置する前に、グリッド、レイヤ、デザインルール等、PCB ワークスペースを設定する必要があります。
PCB ワークスペースのグリッド
- Design » Board Options (デザイン >> ボードオプション)(ショートカット: D, O) を選択して、Board Options ダイアログを表示します。
- 左下の Grids ボタンをクリックして Grid Manager (ショートカット G, M) を開きます。
- Altium Designer では複数のユーザ定義のグリッド(Cartesian と Polar 形式)をサポートします。このチュートリアルでは Default グリッドのみ使用します。それをダブルクリックして Cartesian Grid Editor の設定を編集します。グリッドの Steps 値を 25mil に設定します。
- OK をクリックし、ダイアログを閉じます。
Snap グリッドを 25 mil に設定。
コンポーネントの配置と配置オプション
コンポーネントを容易に配置するためのその他のオプションを設定します。
- Tools » Preferences (ツール >> プリファレンス)(ショートカット: T, P) を選択し、Preferences ダイアログを開きます。ダイアログの PCB Editor – General ページを表示させます。Editing Options (編集オプション)セクションでは、Snap To Center (中心にスナップ)オプションが有効であることを確認します。これは、コンポーネントを “つかんで” 配置しようとすると、カーソルはコンポーネントの参照ポイントに設定されることを意味します。
- Preferences ダイアログの PCB Editor – Interactive Routing へ切り換えます。そのページの Interactive Routing Options の項目で Automatically Terminate Routing (自動で配線を完了)オプションを有効にします。これを有効にすると、配線がターゲットのパッドに到達した時、カーソルが自動でネットから “開放” されます(他のネットの配線を選択できます)。
レイヤスタックとその他の非電気的レイヤの定義
ワークスペースの設定が完了しました。次のステップは、デザインで必要な電気的、非電気的レイヤを設定します。
物理的なレイヤとレイヤスタックマネージャ
Altium Designer の PCB エディタでは、32 の信号層と 16 のパワープレーン層をサポートします。このチュートリアルの PCB は簡単なデザインなので、片面、または両面基板で配線できます。もし、デザインがより複雑な場合、Layer Stack Manager ダイアログでレイヤを追加します。
- Design » Layer Stack Manager (デザイン >> レイヤ構成マネージャ)(ショートカット: D, K) を選択して Layer Stack Manager ダイアログを表示します。
- 新しいレイヤとプレーンは、選択したレイヤの下に追加されます。銅箔厚や絶縁体のようなレイヤ属性はシグナルインテグリティ解析で使用します。これは、レイヤ名をダブルクリックして設定できます。OK をクリックしてダイアログを閉じます。
レイヤの表示設定
電気的なレイヤ(信号層やパワープレーン層)と同様に、PCB エディタではその他の非電気的レイヤをサポートします。PCB エディタでは 3 つのタイプのレイヤを利用できます。
- Electrical layers – 32 の信号層と 16 のインターナルパワープレーン層を含みます。
- Mechanical layers – 寸法線、製造や実装に関する説明、glue dot レイヤのような特定の目的のタスクに使用する、32 のメカニカルレイヤがあります。これらのレイヤは、印刷やガーバー出力に含めることができます。また、レイヤペアとして設定できます(コンポーネントを基板の bottom 側に配置する時、ライブラリエディタで配置したオブジェクトが、ペアのレイヤへ反転できます)。
- Special layers – これらは、top と bottom のシルクレイヤ、Solder と Paste Mask レイヤ、ドリルレイヤ、キープアウトレイヤ(電気的な境界を定義するために使用)、マルチレイヤ(マルチレイヤパッドやビアに使用)、connection レイヤ、DRC エラーレイヤ、グリッドレイヤ、hole レイヤ、その他の表示タイプのレイヤを含みます。
全てのレイヤの表示属性は、View Configurations (ビュー設定)ダイアログ (Design » Board Layers and Colors(デザイン >> レイヤと表示色)、またはショートカット L を押します) で設定します。設計プロセス中に多くのレイヤを表示したり非表示にして作業するため、View Configurations (ビュー設定)ダイアログの設定を View Configuration として保存できます。下図の様に、メインツールバーのメニューを介して View Configurations を容易に切り換えできます。
ビュー設定を素早く切り換えるためにドロップダウンを使用。
ビュー設定は、2D と 3D 表示モード(PCB と PCB ライブラリエディタに適用)の PCB ワークスペース表示オプションをコントロールする設定です。PCB ドキュメントを保存する時、最後に使用したビュー設定が保存されます。これにより、同じビュー設定を他の Altium Designer へ反映できます。また、ビュー設定はローカルに保存し、他の PCB ドキュメントで適用できます。もし、ビュー設定が定義されていない PCB ファイルを開く場合、システムデフォルトが使用されます。ビュー設定は、View Configurations (ビュー設定)ダイアログの左側のオプションを使用して作成、保存します。
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レイヤ表示と同様に、View Configurations (ビュー設定)ダイアログでは 2D のレイヤカラー設定や、他のシステムベースのカラー設定も可能です(これらは、system settings であるため、ビュー設定の一部ではなく全ての PCB ドキュメントへ適用することに注意してください)。また、2D ワークスペースのカラープロファイルはビュー設定と同様に作成、保存でき、いつでも適用できます。 |
View Configurations ダイアログでは、レイヤ表示の状態とカラー設定と同様に以下を含む他の表示設定もコントロールできます。
- ダイアログの Show/Hide (表示/非表示)タブで、各オブジェクトのタイプをどのように表示させるか (Solid、Draft、Hidden(ファイナル、ドラフト、非表示))。
- Pad Net、Pad Numbers、Origin Marker、Special Strings 等のような様々な表示オプション。これらは、ダイアログの View Options タブで設定します。
ショートカット L を押して View Configurations ダイアログを表示。
このチュートリアルでは、簡単な 2D のビュー設定を作成してみましょう。
- View Configurations (ビュー設定)ダイアログ (Design » Board Layers & Colors) を開きます。ダイアログは、左上の Select PCB View Configuration で選択されているアクティブな設定で開きます。3D モードになっているときは、2D 設定をクリックしてください。
- Board Layers And Colors タブで、Only show layers in layer stack と Only show enabled mechanical layers のオプションが有効であることを確認します。これらの設定はスタックしているレイヤだけに表示されます。
- ページ下部の Used Layers On (使用層)のコントロールをクリックします。これは、使用中の(=オブジェクトが配置されている)レイヤのみ表示されます。
- Top Layer の右にある色をクリックして、2D System Colors ダイアログを表示させます。レイヤの色を変更できます。そして、レイヤカラーの変更はシステム設定であるため開いた各ボードへ適用できます。また、ダイアログでは Previous オプションがあり、もし、選択した設定が希望の通りでない場合、カラー設定を復帰できます。Cancel をクリックしてダイアログを閉じます。
- 4 つの Mask レイヤ、Drill Guide、Drill Drawing レイヤの表示を無効にします。
- Actions セクションで、Save As view configuration をクリックしてファイルを
Tutorial
として保存します。ファイル拡張子を入力する必要はありません。これは、Altium Designer では自動で追加されます。 - OK をクリックして、View Configurations ダイアログに戻り、変更を適用して閉じます。
- 設定した View Configuration はアクティブで、メインツールバーの View Configuration リストのドロップダウンで確認できます。 注意 : 2D レイヤのカラー設定はシステムベースであり、全ての PCB ドキュメントに影響を及ぼします。個別のビュー設定に関連した一項目ではありません。2D System Colors ダイアログからは、2D カラープロファイルの作成、編集、保存ができます。
デザインルールの設定
PCB エディタはルールドリブンな環境です。つまり、ユーザが何かアクションを起こして(トラックの配置、コンポーネントの移動、ボードの自動配線等)デザインを変更すると Altium Designer はそれぞれのアクションをモニタしていて、デザインルールの範囲内でデザインが編集されているかチェックしています。異常な操作に対しては、ルール違反として、直ちにエラーがハイライトされます。デザインルールの設定をボードの作業の前に行っておくことで、デザインのタスクそのものに集中することができ、エラーはすぐに報告されて設計者がそれを修正できます。 デザインルールは 10 のカテゴリに分けられ、ルールのタイプごとにさらに分類されます。デザインルールは電気、配線、製造、配置、シグナルインテグリティの要求をカバーしています。
全ての PCB デザインの要求は、Rules and Constraints Editor ダイアログで ルール/制約 として設定されます。
これから新しいデザインルールを設定して、電源ネットの配線に必要な幅を指定してみましょう。これらのルールを設定するには、以下の手順に従ってください。
- PCB ドキュメントをアクティブにし、メニューから Design » Rules (デザイン >> デザインルール)を選択します。
- PCB Rules and Constraints Editor (PCBルールと制約条件編集)ダイアログが表示されます。各ルールのカテゴリが、ダイアログの Design Rules フォルダ(左側)の下に表示されます。Routing カテゴリをダブルクリックして広げ、関連する配線ルールを見ます。Width をダブルクリックして、幅についてのルールを表示します。
- それぞれのルールをクリックして選択します。それぞれのルールをクリックすると、ダイアログの右上にルールのスコープ(このルールを適用する対象)が表示されます。右下には、ルールの制約事項が表示されます。これらのルールはデフォルトか、あるいは、新しい PCB ドキュメントを生成した時に PCB Board Wizard で設定されているはずです。
- Width ルールをクリックしてスコープと制限事項を見てみましょう。このルールは、(Scope が All に設定されているため)ボード全体の全てのネットに適用されます。
Altium Designer のデザインルールシステムの強力な機能の一つは、同タイプの複数のルールを、別々のオブジェクトを対象にして定義できることです。各ルールが対象とするオブジェクトは、ルールの Scope で定義します。同じタイプのルールを適用する順番は Rule Priority (優先順位)で決めます。 例えば、幅についての制約ルールをボード全体(全てのネットをこの幅で配線する必要があることを意味します)に適応した上で、GND ネット幅についての 2 番目の制約ルール(このルールは前のルールを無視して、より高い優先度があります)を設定し、最後に、特定の GND ネット接続の幅についてだけ適用するルールを導入できます(このルールは前の 2 つのルールを無視して、最も高い優先度があります)。ルールの優先度は、ダイアログの左のツリーでルールタイプをクリックした時に表示されます。この例では、幅のルールを表示するために Width をクリックします。 今のところ、このデザインには幅についての制約ルールが 1 つだけあり、ボードの全体(幅 = 12mil)に適用されています。新しい幅についての制約ルールを追加します。12V と GND のネットで、幅を 25mil にします。これらの制約ルールを設定するには、以下の手順に従ってください:
- 新しい幅の制約ルールを追加するために、PCB Rules and Constraint Editor (PCBルールと制約条件編集)ダイアログの左のツリーで Width ルールタイプを選択し、右クリックメニューから New Rule (新しいルール)を選択します。 Width_1 と言う名称の新しいルールが表示されます。スコープと制約を修正するために Design Rules フォルダ内の新しいルールをクリックします。
- Name 欄に
Width_Power
と入力します。 - 次に、Query Builder(これを表示するには Advanced (Query) オプションを選択します)を使用して、ルールスコープを設定します。正しい構文を知っている場合、直接、スコープで入力することもできます。設定が複雑になりそうな場合は、Advanced オプションを選択、Query Helper ボタンをクリックして Query Helper ダイアログを使用します。
- Query Builder (クエリビルダ)ボタンをクリックして、Building Query from Board ダイアログを開きます。
- Add first condition をクリックし、ドロップダウンリストから Belongs to Net を選択します。Condition Value のフィールドで、リストから net 12V を選択します。Query Preview に InNet (’12V’) と表示されます。
- Add another condition をクリックしてスコープを広げ、GND ネットを追加します。Belongs to Net と GND を Condition Value として選択します。
- operator AND をクリックしてドロップダウンリストから OR を選択し、ダイアログの左の operator を変更します。プレビューが InNet(’12V’) OR InNet(‘GND’) になっていることを確認します。OK をクリックしてダイアログを閉じます。
- OK をクリックして Building Query from Board ダイアログを閉じます。これで、新しいデザインルールの Full Query セクションのスコープは新しいクエリに更新されました。
- Min Width =
10mil
- Preferred Width =
25mil
- Max Width =
50mil
新しいルールを設定しました。他のルールを選択、またはダイアログを閉じるとそのルールは保存されます。PCB Rules and Constraints Editor ダイアログの下部セクションで、Width を以下の値に設定します:
- Min Width =
- 最後に、Width と言う名称のオリジナルルール(Scope が All に設定されている)をクリックします。Min Width、Max Width、Preferred Width 欄が 12mil に設定されていることを確認します。
- OK をクリックしてダイアログを閉じます。
手動でボードを配線、またはオートルータを使用している時、GND と 12V のトラックは 25mil の幅になり、それら以外のトラックは 12mil の幅になります。PCB 上へのコンポーネント配置
これで、正しい位置へコンポーネントを配置できます。
- ショートカット V、D を押して、ボードとコンポーネントにズームインしてください。
- コネクタ Y1 を配置するには、カーソルをコネクタの外観の真中において、左マウスボタンを クリックしたまま にします。カーソルは十字形に変わり、部品のリファレンスポイントにジャンプします。マウスボタンをホールドしたまま、移動しコンポーネントをドラッグします。
- フットプリントをボードの左側へ持って行きます(下図のように、全てのコンポーネントがボードの境界内にあることはあらかじめ確認してください)。
ボード上へのコンポーネントの配置例。 - コネクタ コンポーネントの位置を決めたら、マウスボタンを離し配置します。コネクションラインはコンポーネントと一緒にドラッグされます。
- 上図をガイドにして、残っているコンポーネントの位置を決めます。ドラッグしながら SPACEBAR キーを使用すると、コンポーネントが回転(反時計回りに90度刻み)します。コネクションラインは、図のようになります。
- コンポーネントテキストも、同様の方法で再配置することができます。テキストをクリックしたままドラッグし、SPACEBAR を押して回転します。
Altium Designer には、対話式配置ツールが装備されています。4 つの抵抗を正しく整列、等間隔で配置してみましょう。 - SHIFT キーを押しながら、4 つの抵抗それぞれをクリックするか、または 4 つまとめてクリックしてドラッグします。選択されたコンポーネントの周りに、Selections と呼ばれるシステム色で影が付いた選択ボックスが表示されます。View Configurations (ビュー設定)ダイアログ (Design » Board Layers & Colors(デザイン >> レイヤと表示色)、または ショートカット L) で選択色を変更できます。
抵抗の整列とスペース。 - 右クリックして、Align » Align (整列 >> 整列)(ショートカット: A, A) を選択します。Align Objects ダイアログで、Horizontal (水平方向)セクションの Space Equally (左右均等)をクリック、Vertical (垂直方向)セクションで Top (上へ寄せる)をクリックします。4 つの抵抗を等間隔で整列しました。
- デザインウィンドウの適当な場所をクリックして、抵抗の選択を解除します。
フットプリントの変更
ここでは、フットプリントの位置を決めます。コンデンサのフットプリントは大きすぎて、要求仕様に合わないようです。 コンデンサのフットプリントをもっと小さなものに変更しましょう。
- コンデンサをダブルクリックし Component ダイアログを表示します。
- ダイアログの Footprint (フットプリント)のエリアで現在のフットプリントの Name (名称)が RAD-0.3 です。下図のように … ボタンをクリックして Browse Libraries (ブラウズ ライブラリ)ダイアログを開き、別のフットプリントを選択します。
別のフットプリントを選択するためにブラウズ。 - Browse Libraries ダイアログのドロップダウンをクリックして、現在、登録されているライブラリのリストを表示できます。Miscellaneous Devices.IntLib が選択されていることを確認します。
- より小さいラジアルタイプのフットプリントが必要なので、ラジアル形式のフットプリントのみ表示するためにダイアログの Mask 欄に
rad
と入力します。 - RAD-0.1 が適切なのでそれを選択します。OK をクリックして Browse Libraries (ブラウズ ライブラリ)ダイアログを閉じます。再度、OK をクリックし Component ダイアログも閉じます。コンデンサは小さいフットプリントで表示されます。
- 他のコンデンサも同じ方法で変更します。
- 必要に応じてデジグネータを移動します。
- PCB ファイルを保存します。
ボードは下図のように配置します。
新しいフットプリントを含むボード上に配置されたコンポーネント。
すべて配置し終えたら、配線に取りかかりましょう!
選択したオブジェクトは、CTRL キーを押している時に 矢印 キーを押してスナップグリッド単位で移動できます。また、SHIFT キーも同時に押すことでセレクトしたオブジェクトをスナップグリッドの 10 倍のステップで移動できます。
ボードのマニュアル配線
Main articles: 配線の準備, Interactively Routing a Net, Modifying Existing Routing
配線は、トラックやビアをボード上に置いて、コンポーネントを接続するプロセスです。Altium Designer は、ボード上の全部または一部の配線をボタンタッチで最適化する Situs オートルータ以上に洗練された対話型配線ツールによって、この作業を簡単にしました。 オートルータ(自動配線機能)が簡単で強力なボードの配線手法を提供する一方で、トラックの配置で正確なコントロールが必要な箇所があったり、どうしても手動で配線したい場合があったりします。このようなシチュエーションでは、ボードの一部または全部を手動で配線することもできます。チュートリアルのこのセクションでは、全部のボード(片面)について、ボトムレイヤの全てのトラックを手動で配線してみましょう。トラック配置のためのカーソルガイダンス、シングルクリックによる配線の接続、障害を押しのけまたは障害に沿わせる、既存の接続への自動追従等。効率的で柔軟な直感的手法により、対話型配線ツールは、デザインルールに一致した配線作業を最大限に支援します。 今から、ボードのボトムレイヤにトラックを配置してみましょう。ガイドに使用するのは、”ラッツネスト” コネクションラインです。PCB 上のトラックは、一連の直線セグメントで構成されています。各段階で、方向が変わり、新しいトラックセグメントが始まります。デフォルトで Altium Designer は、トラックの角度を垂直、水平、斜め 45 度に限定することで、本格的な配線を容易に提供することができます。ツールの動作はカスタマイズして、ユーザの要求に合わせることができます。このチュートリアルではデフォルトでこのまま使用します。
- ワークスペースの下部にある Layer タブで現在、表示されているレイヤを確認します。もし、ボトムレイヤが表示されていない場合、ショートカット L を押して View Configurations (ビュー設定)ダイアログを表示し Bottom Layer を有効にします。
- ボトムレイヤをカレント、またはアクティブレイヤにするため、ワークスペース下部で Bottom layerタブをクリックします。
メニューから Place » Interactive Routing (配置 >> インタラクティブ配線)(ショートカット: P, T) を選択、または Interactive Routing ボタン
をクリックします。カーソルは、トラックの配置モードを示す十字に変わります。
- コネクタ Y1 上の下側のパッドにカーソルを合わせます。パッドの近くにカーソルを移動すると、パッドの中央に自動でスナップします。これは、カーソルを電気的なオブジェクトの中央に 引き込ませる エレクトリカル グリッド機能です。左クリック、または ENTER を押して、トラックの最初のポイントで確定します。
- カーソルを抵抗 R1 の下側のパッドに移動させます。トラックセグメントがチェックパターンの中で表示される様子に注意してください。カーソルパスに追従します(下図)。チェックパターンは、まだ、定まって(配置されて)いないことを示しています。パスに沿ってカーソルを戻すと、定まっていない配線も崩れます。ここでは、配線に 2 つの選択肢があります:
- CTRL + クリック で Auto-Complete 機能を使用し、直ちに接続(このテクニックはパッドやコネクションライン上で直接、使用できます)。接続元と接続先のパッドは同じレイヤにある必要があります。また、Auto-Complete 機能が動作するためには、ボード上に障害物があっても、配線可能である必要があります。大きなボードでは、配線パスがセクションごとにマップされるので、このAuto-Complete パスが常に有効であるとは限りません。また、接続元と接続先パッドのマッピングを完了できない場合もあります。
- 対象となるトラックセグメントを クリック して、トラックがターゲットの R1 パッドへ直接つながります。この方法は、配線のコントロールを提供し、必要なアクションを最小限にします。
追従するカーソルは手動の配線プロセスを合理化します。確定していないトラックは斜線\無地で、確定したトラックは塗り潰しで表示されます。
- 上記の方法のどちらかを使用して、ボード上の他のコンポーネント間を配線します。下図はマニュアルで配線されたボードです。
- 特定の配線パスで希望の配線でない場合、再度、変更したいセクションを配線します。Altium Designer では、新しい配線を再接続し配線を終了するために右クリックすると ループを削除する 機能により、古い配線(ループ)は自動で削除されます。
- 終了したらデザインを保存します。
ボト ムレイヤにトラックが配置された手動配線のボード。
Altium Designer の対話型配線ツールは、既存のパッドやトラック等、ボード上の障害物との衝突を解決できるモードに特長があります。これらの対話的な配線モードは、SHIFT + R のショートカットを押して切り換えできます。現在のモードはステータスバーに表示されます。
利用できるモードは以下です。
- Walkaround – このモードは、既存の障害物(=配線)を動かすことなく、その周りに配線の引き回しを試みます。
- Stop at first obstacle – このモードは、手動配線で、障害物があるとすぐにトラックセグメントが違反を避けるために停止します。
- Push – このモードは、違反しないで再配置できそうなオブジェクト(トラックやビア)の移動を試みることで、新しい配線に対応します。
- Hug & Push* – このモードは、上記二つの Walkaround と Push 機能の組み合わせです。障害物を迂回する一方で、固定の障害物を押しのけようとします。
- Ignore – このモードでは、違反を無視して、既存のオブジェクト上でもどこにでもトラックを配線します。
対話型配線の実行中、Push または Hug & Push モードで解決できないエリア内に配線しようとすると、トラックの端に表示が現れ、ブロックされていることが示されます(下図)。
Push モード、または Hug & Push モードで目標のパッドに配線できない時、ブロックマークが現れます。
SHIFT+R を押してモードをコントロールできます。これは、Preferences ダイアログ (DXP»Preferences) の PCB Editor – Interactive Routing ページで設定します。
配線のヒント
トラックを配置する時は、以下のポイントを覚えておいてください。
- 左クリック または ENTER で、カーソルの現在位置にトラックセグメントが固定されます。確定されていない配線を表すパターンセグメントを確認してください。無地のトラックはルックアヘッドセグメントを表します(このセグメントはクリックする時に配置されません – ルックアヘッド機能を無効にするにはショートカット 1 を押します)。確定したトラックはレイヤ色で塗り潰しで表示されます。
- CTRL + 左クリック で、いつでも Auto-Complete 接続を使用できます。もし、障害物で衝突して解決できない場合、Auto-complete は機能しません。
- SHIFT + R で衝突解決のモード、Push、Walkaround、Hug and Push、Ignore が切り換えられます。
- SHIFT + SPACEBAR を使用して各種トラックコーナーのモードが切り換わります。スタイルは、自由アングル、45°、アークつき 45°、90°、アークつき 90° です。
- SPACEBAR を押して、コーナーの向きを切り換えます。
- END を押すと、いつでも、スクリーンが再描画されます。
- V, F を使用して、いつでも、全オブジェクトがフィットするように画面が再描画されます。
- PAGE UP または、PAGE DOWN キーを押して、いつでも、カーソル位置を中心にしてズームイン、ズームアウトができます。マウスホイールで、左移動、右移動します。CTRL キーを押したまま、マウスホイールでズームイン、ズームアウトができます。
- BACKSPACE で最後に確定したトラックセグメントを “やり直し” できます。
- トラックの配置を終了して別な作業を始めるには、右クリック、または ESC を押します。
- お互いに接続すべきでないパッドをうっかり接続してしまうことはありえません。Altium Designer はボードをモニタしており、接続ミスやトラックの交差が起こらないようにしています。
- トラックセグメントを削除するには、クリックして選択します。セグメントの編集ハンドルが現れます(トラックの残りの部分はハイライトされます)。DELETE キーを押すと、選択されたトラックセグメントを削除します。
- 新しいトラックセグメントの再配線も容易です。右クリックで終了したら、余分なトラックセグメントは自動的に削除されます。
- コーナー角度を保持して既存の配線をスライドするには、セグメントで CTRL + 左クリックしてドラッグ します。トラックセグメントをスライド中、衝突の解決モードを切り換えるには、ショートカット SHIFT+R を使用します。
- PCB 上の全てのトラックの配置が終了したら、右クリックするか ESC キーを押して、配置モードを終了します。
PCB Board Wizard で両面基板として定義したので、トップとボトムレイヤを使用してボードの “両面” を手動で配線できます。これを行うには、メニューから Tools » Un-Route » All (ツール >> アンルート >> 基板全体)を選択してボードを未配線にします。前述のようにインタラクティブ配線を開始します。トラックを配置中、配線レイヤを切り換えるには、10 キーの *** キーを押します。Altium Designer では、レイヤを変更する時、必要に応じて自動でビアを挿入します(Routing Via のデザインルールに従って)。
様々な配線ツールの情報については、PCB 配線 のアーティクルを参照してください。
ボードの自動配線
Main article: Situs 自動配線の要点
Altium Designer で自動配線を行うには以下の手順に従ってください:
- 最初に、メニューから Tools » Un-Route » All (ツール >> アンルート >> 基板全体)(ショートカット: U, A) を選択し、ボードを未配線にします。
- Auto Route » All (オートルート >> 基板全体)を選択します。Situs Routing Strategies ダイアログが表示され、ダイアログの上部に Routing Setup Report、warnings や errors が赤色で表示されます(常に、警告/エラーをチェック)。
- Situs Routing Strategies ダイアログの Route All をクリックします。Messages パネルには自動配線のプロセスが表示されます。Situs オートルータは、経験を積んだボード設計者のように配線するトポロジカル オートルータです。PCB 編集画面で直接、ボードを配線するため、配線ファイルのエクスポート、インポート作業で格闘する必要はありません。
- ボードを片面で配線するには、Situs Routing Strategies ダイアログの Edit Layer Directions ボタンをクリックし Current Setting 欄を修正します。あるいは、Routing Layers のデザインルールを修正します。
- Situs は、簡単なボードから、密集した複雑なデザインまで対応します。完成した結果の質を改善するには、再度、Auto Route » All (オートルート >> 基板全体)を選択します(この時、Cleanup 配線ストラテジを選択します)。必要に応じて、Cleanup ストラテジを複数回実行できます。
- File » Save (ファイル >> 保存)(ショートカット: F, S) を選択してボードを保存してください。
自動配線されたボード。
注意 : オートルータで配置されたトラックは 2 種類の色で表されています。赤色は、トラックがボードのトップの信号レイヤにあることを示し、青色はボトムの信号レイヤにあることを示します。オートルータが使用するレイヤは、Routing Layers のデザインルールで特定されており、PCB Board Wizard で設定しました。また、コネクタからの 2 つの電源ネットトラックが幅広くなっています。これは、このチュートリアルで既に設定した 2 つの Width デザインルールに基づいています。尚、配線が上図と同じデザインになるとは限りません。コンポーネントの配置、配線の配置もまったく同じになるわけではありません。
ボードデザインの確認
Altium Designer は、ボードを確認するために多くのデザインルールを定義できるルールによるボード設計環境です。通常、設計プロセスの初めにデザインルールを設定します。それから、作業中、デザインがルールに従うことを確認します。 チュートリアルの初めに配線のデザインルールを確認し、新しい幅の制約ルールを追加しました。また、既に PCB Board Wizard で作成されたルールもありました。そして、これらのデフォルトルールに対して既存のデザインルール違反がありました。
配線した回路ボードがデザインルールに従っているか確認するには、Design Rule Check (DRC) を実行します。
- Design » Board Layers & Colors (デザイン >> レイヤと表示色)(ショートカット: L) を選択して、System Colors セクションの DRC Error Markers オプションの右にある、Show ボタンが有効になっている(チェックされている)ことを確認して、DRC エラーマーカーが表示されるようにしてください。
- Tools » Design Rule Check (ツール >> デザインルール チェック)(ショートカット: T, D) を選択します。オンラインとバッチ DRC の両方が Design Rule Checker ダイアログで構成されています。カテゴリ、例えば、Electrical をクリックすると、カテゴリに属する全ルールを参照できます。各ルールタイプについて、Online と Batch のチェックボックスがあります。ここでは、デフォルト設定のままにします。
オンラインとバッチでチェックするルールは、Design Rule Checker ダイアログで設定します。 - ダイアログの左で Report Options アイコンをクリックします。Report Options の項目をデフォルトのままにして Run Design Rule Check ボタンをクリックします。DRC は実行しレポートファイル Design Rule Check – Multivibrator.html が開きます。また、結果は Messages パネルに表示されます。2 つのタイプのルール違反(Silkscreen over Component Pads と Clearance Constraint)がレポートに表示されます。
- Silkscreen over Component Pads 違反をクリックします。レポート内の違反の詳細へジャンプします。
- Silkscreen over Component Pads 違反の 1 つをクリックします。PCB に自動で切り換わりその違反箇所がズーム表示されます。ズームレベルは、Preferences ダイアログの System – Navigation ページで設定することに注意してください。
シルクとパッド間のクリアランスが、デザインルールで指定した 10mil 以下であることを示す違反の詳細。 - 違反箇所に詳細情報が表示されます。例えば、上図のように Silkscreen over Component Pads 違反が表示されます。この場合、クリアランスがデザインルールで指定した 10mil 以下であることを示します。DRC Detail Markers の色は View Configurations (ビュー設定)ダイアログで設定します。
- シルクとパッド間のクリアランスを確認するには、メニューから Reports » Measure Primitives を選択します。そして、パッドをクリックしてからシルクのトラックをクリックします。もし、現在のスナップグリッドが粗い場合、トラックをクリックできないかもしれないことに注意してください。この場合、CTRL+G を押してより小さいグリッド値(例えば、5mil)を入力します。
- Information ダイアログに、シルクのトラックとパッド間の距離が 9.504mil と表示されます。
- このエラーを解決するには、フットプリントを修正する(シルクのトラックとパッド間の間隔を広げる)か、デザインルールを編集します(最小クリアランス値を下げます)。このチュートリアルでは、デザインルールを編集します。メニューから Design » Rules (デザイン >> デザインルール)を選択し PCB Rules and Constraints Editor (PCBルールと制約条件編集)ダイアログを開きます。
- Manufacturing の項目で、Silkscreen Over Component Pads ルールタイプを開きます。既存のルールをクリックします。
- Silkscreen Over Exposed Component Pads Clearance の値を
10mil
から9mil
に変更します。 - オンライン DRC が自動で実行され、違反をクリアにします。また、バッチチェックも実行します。Tools » Design Rule Check (ツール >> デザインルール チェック)を選択し Run Design Rule Check ボタンをクリックします。
- この時、レポートには 4 つの Clearance Constraint 違反のみ表示されます。違反の詳細を表示するには、レポート内のハイパーリンクをクリックします。それから、4 つの違反のどれかをクリックすると PCB に違反箇所が表示されます。
これらのパッドは、Clearance Constraint デザインルールで指定した 13mil 以下です。
- 同じ方法を使用して、トランジスタのパッド間のクリアランスを確認します。Information ダイアログに 10.63mil の距離と表示されます。
PCB ドキュメントに戻り、トランジスタのパッドが緑色でハイライトされています。これは、デザインルール違反を示します。
- Messages パネルのエラーリストを確認します。これは、PCB デザインで起こった違反のリストです。Clearance Constraint ルール下に 4 つの違反があります。その詳細は、トランジスタ Q1 と Q2 のパッド間が、13mil のクリアランスルールに違反していることを示します。
- Messages パネルのエラーをダブルクリックし、PCB 上の違反箇所にジャンプします。 配線技術やデバイスの属性を考慮して、通常、ボードをレイアウトする前に Clearance constraint ルールを設定します。エラーを分析し、現在のクリアランスデザインルールをレビューします。そして、この状況を解決する方法を決めます。
- PCB Rules and Constraints Editor (PCBルールと制約条件編集)ダイアログ (Design»Rules) を開きます。Electrical を拡張し Clearance ルールタイプを表示します。Clearance デザインルールをクリックして表示します。
- このルールは、All に対する All のオブジェクト間の最小クリアランスを示します(このチュートリアルでは 13mil)。トランジスタのパッド間はこれより小さいので DRC で違反となります。
- トランジスタのパッド間の最小距離が 10mil 必要です。そのため、トランジスタのみ最小 10mil のクリアランス制約となるデザインルールを設定します。
- clearance constraint ルールを追加するために、ダイアログ左の Design Rules フォルダ内の Clearance ルールを選択します。そして、右クリックし New Rule を選択します。
- 新しい Clearance ルール(Clearance_1 )をクリックします。Name を
Clearance_Transistors
に、Constraints の項目の Minimum Clearance を10mil
に設定します。 - 最後に Scope(Full Query)を設定します。スコープを設定する方法はいくつかありますが、この場合、トランジスタのフットプリントを使用するコンポーネントがターゲットになります。これを行うには、ダイアログの上部にある Advanced (Query) オプションを選択します。それから、*Query Builder ボタンをクリックして Building Query from Board ダイアログを開きます。
- Condition/Type Operator のドロップダウン(Add first condition)を選択し、リストから Associated with Footprint を選択します。
- Condition Value ()を TO-92A(トランジスタで使用されているフットプリント)に設定します。それから、OK をクリックしダイアログを閉じます。新しいデザインルールが下図のようになります。
特定のフットプリントと全てのオブジェクト間のクリアランスを設定したデザインルール。 - OK をクリックして PCB Rules and Constraint Editor ダイアログを閉じます。オンライン DRC が自動で実行されエラーはクリアされます。
- トランジスタ パッドのクリアランス違反が解決したことを確認するには、再度、バッチ デザインルールチェックを実行します(Tools » Design Rule Check(ツール >> デザインルール チェック))。レポートを確認すると違反はありません。
全ての違反が解決したことを示す DRC レポート。
これで、PCB レイアウトが完了し出力ドキュメントを作成する準備ができました。それを行う前に、Altium Designer の 3D 機能を説明します。
3 次元でボードを表示
ボードデザインが完了しました。3 次元オブジェクトとしてそれを検証します。Altium Designer の 3D モードは、3D モデルとしてどんな方向からでも見ることができます。Altium Designer の 3D 環境は、DirectX 9.0c、Shader Model 3 をサポートしているグラフィックカードが必要です。(v10~v13で、3D モードが有効かテストするには、Preferences ダイアログ (DXP » Preferences) の PCB Editor – Display ページを開きます。そして、Use DirectX if possible オプションが有効であることを確認してから Test DirectX ボタンをクリックします。) 3D へ切り換えるには、View»Switch To 3D (ショートカット: 3) を選択、または PCB Standard ツールバーのリストから 3D view configuration を選択します。ボードは 3 次元オブジェクトとして表示されます。 ビューは滑らかにズームさせたり、回転させたりすることができます。ボードの内部に入り込むことさえできます。以下のコントロールを使用してください。
- Zooming – CTRL + 右ドラッグ マウス、または CTRL + マウスホイール、または PAGE UP / PAGE DOWN キー。
- Panning – 右ドラッグ マウス、または Windows の標準のマウスホイール コントロール。
- Rotation – SHIFT + 右ドラッグ マウス。下図のように、SHIFT を押している時、上下左右の矢印がある球体が現在のカーソル位置に表示されます。モデルの回転移動は、球体を中心にして行われます。以下のコントロールを使用してください(移動方向を選択してマウスを移動します):
- Center Dot(中心点) がハイライトされている時に球体を右ドラッグすると、あらゆる方向に回転できます。
- Horizontal Arrow(水平方向の矢印) がハイライトされている時に球体を右ドラッグすると、Y 軸を中心として回転します。
- Vertical Arrow(垂直方向の矢印) がハイライトされている時に球体を右ドラッグすると、X 軸を中心として回転します。
- Circle Segment(円環部分) がハイライトされている時に球体を右ドラッグすると、Z 平面で回転します。
3D 画面での回転球体。 View Configurations (ビュー設定)ダイアログ (ショートカット: L) を使用して 3D ワークスペース表示オプションを設定できます。
様々な表層とワークスペースのカラーを選択できるオプション、頂点のスケーリングを選択できるオプションがあり、PCB の内部を手軽に調べることができます。いくつかの表層には、不透明設定(不透明さが増すにつれて、表層を透過する ‘明るさ’ が減少し、オブジェクトの背後が見えなくなる)があります。また、3D 外形やレンダリング 3D オブジェクトは、2D のレイヤカラーで表示させることもできます。 各 3D コンポーネントを表示するには、適切な 3D モデルを割り当てる必要があります。コンポーネントフットプリントへ 3D STEP フォーマットのモデルをインポートできます。または、ライブラリエディタでフットプリントに 3D 外形オブジェクトを配置して、自身でコンポーネント形状を作成できます。 また、PCB ドキュメントを STEP や DWG/DXF のフォーマットでエクスポートして、他のプログラムで使用することもできます (File » Save Copy As(ファイル >> コピーに名前を付けて保存))。 注意 : 3D モードでは、CTRL + C を使用して、現在のビューのスナップショットをクリップボードにコピーできます。画像は、Windows のクリップボードに、ビットマップフォーマットで保存され、他のアプリケーションで使用することができます。
コンポーネントに 3D 外形が設定された Multivibrator PCB。
Altium Designer 内で、2つのハウジングを実装した Multivibrator PCB。
出力ドキュメント
PCB のデザインとレイアウトは完成しました。出力ドキュメントを作成して、ボードレビュー、製造、組み立てに進んでみましょう。これらのドキュメントは一般的に、ボード製造工程のために企画されています。様々なテクノロジと手法が PCB の製造に関連しているので、Altium Designer ではこれらの目的のために様々な出力を作成する機能があります。
- アセンブリ描画 – ボードの各面におけるコンポーネントの位置と向き。
- Pick and Place ファイル – robotic 配置機構を使用して、ボードにコンポーネントを配置。
Documentation Outputs
- Composite 描画 – コンポーネントとトラックを含む完成後のボードアセンブリ。
- PCB 3D プリント – 3 次元のボードビュー。
- 回路図プリント – デザインに使用された回路図の描画。
- Composite ドリルドローイング – ドリル穴の位置とサイズ(シンボルを使用)。単一描画されたボード用。
- ドリルドローイング/ガイド – ドリル穴の位置とサイズ(シンボルを使用)。分割描画されたボード用。
- ファイナル アートワークプリント – 様々な製造出力を組み合わせ、単一プリント可能な形で出力。
- ガーバーファイル – ガーバーフォーマットで製造情報を作成。
- NC ドリルファイル – NCマシンで使用可能な製造情報を作成。
- ODB++ – ODB++ データベースフォーマットで製造情報を作成。
- パワープレーン プリント – インターナルプレーンとスプリットプレーンの描画を作成。
- ソルダー/ペーストマスク プリント – ソルダーマスク、ペーストマスクの描画を作成。
- テストポイント レポート – 様々なフォーマットで、テストポイント出力を作成。
ネットリストには、デザイン中のコンポーネント間の論理的な接続が記述されていて、他のエレクトロニクス設計アプリケーションへデータを移行するのに便利です。
- 部品表(BOM) – ボード製造に求められる様々なフォーマットで、部品と数量のリスト(BOM)を作成。
- コンポーネントのクロスリファレンス レポート – デザイン中の回路図に基づいて、コンポーネントのリストを作成。
- プロジェクト階層レポート – プロジェクト内で使用されるドキュメントのソースのリストを作成。
- シングルピンネット レポート – ただ 1 つの接続だけがあるネットをリスト化したレポートを作成。
- シンプル BOM – テキストと CSV(コンマで区切られた変数)のファイルを BOM から作成。
ほとんどのドキュメントは、編集/構成可能で、必要に応じて出力をカスタマイズできます。設計を数多くこなしていくうちに、同じ、または似たような出力ドキュメントを作成することが多くなります。Altium Designer は出力ジョブ ファイル(Output Job Files)と呼ばれる仕組みを提供しています。そこで設定した内容は、他のデザインで再利用できます。
ガーバーファイルの生成
各ガーバーファイルは、コンポーネントオーバーレイ、トップシグナルレイヤ、ボトムシグナルレイヤ、ソルダーマスクレイヤ等、物理的ボードのそれぞれ 1 つのレイヤに対応しています。デザインを製造するために必要な出力ドキュメントを生成する前に、基板製造業者へ必要なデータの形式について問い合わせておくことをお勧めします。
このチュートリアルの PCB の製造ファイルを作成するには、以下を行います。
- File » Fabrication Outputs » Gerber Files (ファイル >> 製造用データ出力 >> Gerber Files)を選択します。Gerber Setup ダイアログが表示されます。
- Layers タブ、Plot Layers ボタンをクリックし、Used On を選択します。OK をクリックしてデフォルト設定を適用します。
- ガーバーファイルが生成され、それらが CAM エディタに表示されます。ガーバーファイルは、
\Project Outputs
フォルダに保存されます。このフォルダは、プロジェクトファイルが保存されているフォルダに自動的に作成されます。各ファイルには、レイヤ名に関係のある拡張子がつけられます。例えば、Multivibrator.GTO はガーバートップオーバーレイに対応しています。これらは Generated CAM Documents フォルダの Projects パネルに追加されます。
同様に、File » Fabrication Outputs » NC Drill Files (ファイル >> 製造用データ出力 >> NC Drill Files)コマンドで、NC Drill Setupダイアログを開いて(デフォルト設定はそのままで)、NC ドリルデータを出力してください。
部品表(BOM)の作成
このチュートリアルの PCB 用の部品表(BOM: Bill of Materials)を作成します。
- Reports » Bill of Materials を選択します。Bill of Materials for PCB Document ダイアログが表示されます。
- このダイアログで BOM を作成します。レポートに含めたい各欄の Show オプションを有効にします。
- All Columns リストから項目を選択して Grouped Columns リスト にドラッグすると、コンポーネントが BOM のデータタイプごとにグループ分けされます。例えば、Footprint でグループ分けしたい場合は、All Columns リストで Footprint を選択して Grouped Columns リストにドラッグします。レポートはそれに従って、ソートされます。
- Open Exported オプションを有効にして、CSV を File Format として選択します。Export ボタンをクリックすると、BOM ファイルが生成され、すぐに CSV ビューア(例えば、Microsoft Excel)に表示されます。BOM には多くのオプションがありレポートを定義、整理できます。ダイアログを閉じます。
これで、PCB 設計プロセスは完成です。
更なる機能
このチュートリアルでは、Altium Designer のいくつかの機能を紹介しました。回路図を設計し、PCB の設計と配線を行いました。しかし、これらは Altium Designer が提供しているデザイン機能のほんの一部に過ぎません。一度、Altium Designer について調べ始めると、より「容易」な設計を可能にする豊富な機能群を見出すでしょう。 ソフトウェアの機能を説明するために、いくつかのサンプルファイルが含まれています。メニューから File » Open (ファイル >> 開く)を選択してからインストールフォルダにある Examples フォルダへ行き、通常の方法でこれらのサンプルを開くことができます。このフォルダ内のボードデザインのサンプルと同様に、Altium Designer の特定の機能を説明するサンプルが保存されているサブフォルダがあります。
Circuit Simulation サブフォルダを確認して、Altium Designer のアナログ、デジタルシミュレーションの機能を確認してください。アンプや電源のようなアナログのサンプルファイルによる回路設計の様々なデモだけでなく、混在モードのサンプル、関数のサンプル、ソース依存型線形/非線形のサンプル、真空管等のサンプルがあります。
ロジックのスイッチング、デザインクロックスピードの更なる高速化に伴い、デジタル信号の質も、ますます重要になっていきます。 Altium Designer には、洗練されたシグナルインテグリティ解析ツールが含まれていて、ボードレイアウトを正確にモデル化し、分析することができます。シグナルインテグリティに必要な設定、インピーダンス、オーバーシュート、アンダーシュート、スロープ等は、PCB デザインルールで定義され、標準のデザインルールチェックで検査されます。より詳細な解析が必要なネットがある場合は、Tools » Signal Integrity (ツール >> Signal Integrity)を選択し、Signal Integrity Analyzer へデザインを渡して、反射やクロストークシミュレーションを実行できます。結果は、オシロスコープのような波形アナライザに表示されますので、実行内容の検証や、波形からの直接測定ができます。
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